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メトロノームを使った練習法:テンポの決め方と上げ方

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メトロノームは「正しいテンポで弾けているか」を確かめる道具であると同時に、「少しずつ速く弾けるようにする」ための道具でもあります。ただ、何となくカチカチ鳴らしているだけでは効果は半分です。この記事では、どのテンポから始め、どれくらいずつ上げ、どんな鳴らし方をすると練習になるのかを、具体的な数字で説明します。ピアノ、ギター、ドラム、管楽器、どの楽器にも当てはまる内容です。

まず「ミスなく弾けるテンポ」を探す

最初のテンポは、楽譜に書かれたテンポではなく、いま自分がミスなく弾けるテンポです。目安として、多くの人は60〜80 BPMあたりから始めることになります。BPMは1分間の拍の数なので、60 BPMなら1秒に1拍、80 BPMなら0.75秒に1拍です。

探し方は簡単です。練習したいフレーズを、いつもの感覚で一度弾いてみて、つまずいた箇所があればテンポを10 BPM下げてもう一度。最後まで止まらず、音の粒もそろって弾けたら、そこが今日のスタート地点です。「遅すぎて退屈」と感じるくらいでちょうどいいことが多いです。遅いテンポでは指の動きや音の長さに注意を向ける余裕があり、間違った動きを覚えにくくなります。

速いテンポで何度も間違えながら弾くと、間違えた動きも一緒に体が覚えてしまいます。遅く正確に弾いた回数のほうが、あとで速く弾くときの土台になります。

4〜8 BPMずつ上げるルール

スタートのテンポで3回続けてミスなく弾けたら、テンポを4〜8 BPM上げます。上げ幅を小さくするのは、変化に気づかないくらいの差なら、体が前のテンポの感覚のまま弾けるからです。いきなり20 BPM上げると、指や腕に余計な力が入り、音がつぶれたりリズムが前のめりになったりします。

  • 楽に弾ける:8 BPM上げる
  • なんとか弾ける:4 BPM上げる
  • 3回中1回でもミスがある:テンポはそのまま、もう3回
  • 2つ上のテンポでも崩れる:8 BPM下げて、その日の上限とする

この上げ方は、ピアノのスケールやアルペジオ、ギターのオルタネイトピッキング、ドラムのルーディメンツなど、同じ動きを繰り返す基礎練習で特に効果があります。

その日に届いた一番速いテンポは、メモしておきましょう。翌日はそのテンポの8〜12 BPM下から始めると、ウォーミングアップをしながら前日の位置に戻れます。毎日の記録が数字で残るので、上達が目に見えるのも利点です。

スピードトレーナーで自動的にテンポを上げる

毎回手でテンポを変えるのが面倒なら、スピードトレーナーを使います。開始テンポ、目標テンポ、何小節ごとに何BPM上げるかを決めておけば、メトロノームが自動でテンポを上げていきます。MusiqPadのメトロノームでは、新しいテンポは必ず小節線から始まるので、フレーズの途中で速さが変わることはありません。

下の表は、60 BPMから100 BPMまで、4/4拍子で4小節ごとに+4 BPMずつ上げた場合です。各段階の長さと、そこまでの累計時間を示しています。

BPM1段階の時間累計
6016.0 s0:16
6415.0 s0:31
6814.1 s0:45
7213.3 s0:58
7612.6 s1:11
8012.0 s1:23
8411.4 s1:35
8810.9 s1:45
9210.4 s1:56
9610.0 s2:06
1009.6 s2:15

60 BPMの4小節(16拍)は16秒、100 BPMの4小節は9.6秒です。全部で11段階、通して約2分15秒。短い時間ですが、テンポが上がるたびに集中し直すので、同じ時間を一定のテンポで弾くよりも密度の高い練習になります。最後まで崩れずに通せたら、翌日は開始テンポを4 BPM上げるか、上げ幅を小さくして目標テンポを上げてみてください。

途中で崩れたテンポがあったら、そこが今の限界です。そのテンポの少し手前を開始テンポにして、もう一度通しましょう。

2拍目と4拍目だけ鳴らす練習

4/4拍子で1拍目と3拍目のクリックを無音にすると、メトロノームは2拍目と4拍目だけを鳴らします。ポップス、ロック、ジャズでスネアが入る位置、いわゆるバックビートです。クリックが鳴らない拍は自分で感じるしかないので、テンポを自分の中で保つ力がつきます。

MusiqPadでは、拍の四角をタップするたびにアクセントが「強」「グループの頭」「通常」「無音」と切り替わります。1拍目と3拍目を無音にするだけで準備完了です。慣れてきたら、4拍目だけ、さらに1小節に1回だけ鳴らす設定にすると、クリックに頼らずに弾く時間がどんどん長くなります。

最初は、2拍目と4拍目のクリックに合わせて足でリズムを取るか、手を叩くとわかりやすくなります。クリックが鳴っていない1拍目を感じられないうちは、テンポを落としてください。

細分化:8分音符・3連符・16分音符で鳴らす

遅いテンポで練習していると、拍と拍のあいだが長すぎて、音を出すタイミングがあいまいになります。そこで役立つのが細分化です。「1拍のクリック数」を8分音符にすれば1拍に2回、3連符なら3回、16分音符なら4回クリックが鳴ります。

たとえば16分音符が続くフレーズを60 BPMで練習するとき、拍だけのクリックだと1秒に1回しか手がかりがありません。16分音符のクリックにすれば0.25秒ごとに鳴るので、どの音が前に出たか、遅れたかがすぐわかります。テンポが上がって細かいクリックがうるさく感じたら、8分音符、拍のみへと戻していきます。

3連符のクリックは、シャッフルやスウィングの練習にも使えます。3つのうち1つ目と3つ目だけを弾けば、跳ねたリズムの位置が正確に取れます。

速度記号とBPMの目安

楽譜の冒頭にあるAndanteやAllegroといった速度記号は、BPMの範囲で考えるとわかりやすくなります。下の表は、MusiqPadのメトロノームが表示に使っている目安です。1拍の長さもミリ秒で載せています。

速度記号BPM1拍の長さ
Grave20–391,500–3,000 ms
Largo40–591,000–1,500 ms
Larghetto60–65909–1,000 ms
Adagio66–75789–909 ms
Andante76–107556–789 ms
Moderato108–119500–556 ms
Allegro120–167357–500 ms
Presto168–199300–357 ms
Prestissimo200–400150–300 ms

この範囲はあくまで目安で、作曲家や時代、出版社によって幅があります。同じAllegroでも、軽い曲と重厚な曲では感じるテンポが違います。楽譜にメトロノーム記号(♩= 120のような数字)があれば、そちらを優先してください。

テンポを上げるときのチェックポイント

テンポを上げてよいかどうかは、「最後まで弾けたか」だけで判断しないことが大切です。止まらずに弾けても、音の長さがばらばらだったり、速い箇所でクリックより前に出ていたりするなら、まだ上げる段階ではありません。次の点を、1回弾くごとに確かめてみてください。

  • クリックと音の頭がぴったり重なっているか。重なるとクリックが聴こえにくくなるのが正しい状態です。
  • 難しい箇所の直前で、テンポが前のめりになっていないか。
  • 肩、手首、指に余計な力が入っていないか。力みを感じたら4 BPM戻します。
  • 強弱やアーティキュレーション(スタッカート、レガートなど)が、遅いテンポのときと同じように表現できているか。
  • 呼吸(管楽器や歌)や弓の配分(弦楽器)が、テンポに合わせて自然にできているか。

スマホで自分の演奏を録音し、クリックと一緒に聴き直すのも効果的です。弾いているあいだは気づかないずれが、録音でははっきりわかります。特に、フレーズの終わりの長い音が短くなっていないか、休符を詰めていないかは、録音で確かめやすいポイントです。

また、いつも同じテンポだけで練習しないことも大切です。目標テンポに届いたら、そこから20 BPMほど下げたテンポでも弾いてみましょう。遅いテンポで正確に弾けないなら、速いテンポで弾けているのは勢いに頼っているだけかもしれません。

メトロノーム(無料・オンライン)

メトロノームを開いて、今日のスタートテンポを探してみましょう。スピードトレーナーと拍ごとの無音設定もここから使えます。

15分の練習メニュー例

  1. 3分:拍のみのクリックで、ミスなく弾けるテンポを探す
  2. 5分:スピードトレーナーで、そのテンポから4小節ごとに+4 BPM
  3. 4分:崩れたテンポの少し手前で、2拍目と4拍目だけ鳴らして弾く
  4. 3分:一番遅いテンポに戻り、16分音符のクリックで音の粒をそろえる

最後に一番遅いテンポへ戻るのは、速いテンポで入った余計な力を抜き、正確な動きで練習を終えるためです。ドラムマシンでリズムパターンを鳴らしながら弾くと、クリックとは違う、曲に近い感覚でテンポを確認できます。

よくある質問

毎日何BPMずつ上げればいいですか?
1回の練習の中で、ミスなく3回弾けたら4〜8 BPM上げます。翌日は前日の最高テンポより8〜12 BPM下から始めると、無理なく戻れます。
メトロノームに合わせると逆にずれてしまいます。
テンポが速すぎる可能性があります。10 BPM下げ、クリックを8分音符にして、拍のあいだにも手がかりを増やしてください。クリックの音色を楽器の音とぶつからないものに変えるのも効果があります。
ずっとメトロノームを鳴らしたまま練習していいですか?
正確さを身につける段階では有効です。慣れてきたら1拍目と3拍目を無音にするなど、クリックを減らして、自分でテンポを保つ時間を増やしましょう。